早回し

 

「ねぇ、ロサ・カニーナって何者?」

令さまが薔薇の館の2階に入ってきての第一声がそれだった。

「ロサ・カニーナ?」

祥子さまが首を傾げる。

「ロサ・カニーナと呼ばれている生徒が立候補するらしいんだ」

「立候補って…次期山百合会幹部の選挙に?」

由乃さんがいぶかしげな表情で立ち上がる。

次期山百合会の選挙…立候補…ロサ・カニーナ…。

祐巳は、自分の考えに沈んだ。

 

 

「どうぞ」

「…すみません」

そう言って、涼しげな顔の2年生は、祐巳に植物図鑑を差し出した。

「バラの花を調べたいの?」

「ええ、ロサ・カニーナという薔薇。うちにあった図鑑では、載っていなくて…」

「薔薇は品種が多いものね。…どんな花だと思う?」

「どんな…って。イメージとしては…」

最初に聞いた印象から、なんとなく祐巳はその色を思い浮かべた。

「黒っぽい薔薇?」

すると、その2年生は意味ありげに笑って、答えた。

「当たり。ロサ・カニーナは、黒薔薇よ」

 

 

「…現在の白薔薇さまが卒業されたあと、私はスールとしてあなたを迎えるつもりよ。決して悪い話ではないと思うの」

背を向けかけたロサ・カニーナを、志摩子さんは呼び止めた。

「これだけは、この場でお答えします。今後何があっても、私はあなたの妹になるつもりはありません」

「…そう」

 

「お姉さま歴の長い私が言うのだから、間違いない…って、ちょっともう終わり?!ちょっ…話がちが」

そして選挙が終わった。

 

 

「さあ、キスです」

「はっ?」

「限りなく唇に近いほっぺにチュです、白薔薇さま!」

「っていうか、ここどこなの?!」

「もう尺がないんです。さあ、早く私に『お餞別』をっ!!」

「って、ええっ?!ちょっ、まっ…」

さあ、さあ、さあさあさあ!

 

この静さま、押しが強いよ(笑)。

2004.02.12

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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