シャベレーズ |
「祐巳ちゃん」 ベンチに座って、どこまでも落ち込んでいると、頭上から声がした。 「何かあったの?」 顔を上げると、そこには紅薔薇さまが立っていた。 祐巳は思わず下を向いてしまった。 でも、紅薔薇さまは気にせず、その隣に腰を下ろした。
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「私…祥子さまのために、何もできないんです。妹なのに…」 何度かの逡巡のあと、祐巳は思いきって切り出した。 すると、紅薔薇さまはにっこり微笑んだ。 「いいのよ、祐巳ちゃん」 とても優しげな声だった。 「あのね、妹はそんな心配しなくていいの。…だって、妹なんだから」 「え…っ」 「もし、何か力になりたいのだったら、普通にしていなさい。それで祥子が何かしてほしいと言ってきた時だけ、それをしてあげたらいいの」
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「…本当に、それでいいんですか?」 自信なさげに、祐巳は上目遣いに紅薔薇さまを見た。 「いいのよ」 紅薔薇さまは、少しいたずらっぽく笑っていた。 「お姉さま歴の長い私が言うのだから、間違いないの。分かった?」 「…はい」 やっぱり、紅薔薇さまはすごい。祐巳は、あらためて祥子さまのお姉さまでもある、この方への尊敬を深めた。 が…。
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(ああ…久しぶりの長ゼリフ…!) じーん…。 紅薔薇さま、実は内心、全然別の喜びを噛みしめていたり。
ギリギリギリ…。 そして、物陰からハンカチを噛みしめつつ、そんな紅薔薇さまを見つめる視線があった。
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秀でたおでこがキラッと光る〜(笑)。 |
2004.02.14 |