ドリル禁止 |
どきどき…。 さっきから、胸の鼓動が収まらない。 約束の11時まではまだ時間があるし、こんなに早く、祥子さまが来るはずがないのはわかっている。 でも、やっぱりドキドキは増すばかりで。 祐巳は、もう一度、腕時計にチラリと目をやった。 「あの…」 その時、祐巳は声をかけられた。
|
もしかして、お姉さま! …と、嬉しさと焦りでパニックになった顔を上げると、しかし、そこに立っていたのは、見知らぬ少女?だった。 なぜハテナがつくのかといえば、彼女が、まったく似合わないサングラスと顔の下半分を覆い隠すようなマスクをしているから。 戸惑う祐巳をよそに、彼女は口を開いた。 「それ…縦ロールですよね?」 「………は?」 何を言っているんだろう。祐巳は自分の顔を指さして聞き返した。
|
「それ。その髪型ですわ」 彼女は少し苛立ったように、祐巳の頭の両脇で揺れるお下げをびしっと指した。 「髪型…?」 「それは、私への挑戦ですか?」 「はあ?」 「とぼけないでくださいませ。そのプチ縦ロールが何よりの証拠!」 よく見ると、彼女はそれは見事な縦ロールを顔の両脇に垂らしている。 「いやあの…え?」
|
「禁止、禁止、禁止ですわ!縦ロールは私のアイデンティティです!いかに祐巳さまといえど、それは反則です!」 「なななな…」 ふりふりの可愛らしい洋服に身を包んだ彼女が、両腕をぶんぶか振りながら迫ってきて、祐巳は何が何だかわからずパニック。 「バカ!何やってんのよ、まったく…」 と、唐突に横合いから出てきた黒髪おかっぱの少女が、ぽかりと縦ロールの少女の頭を叩く。 まだ、ぎゃいぎゃい言っている彼女を、失礼しました…と引っ張っていく後ろ姿を見送りながら、なんだったんだろう、あの子…と茫然とする祐巳だった。
|
祐巳のあの髪型、プチドリルに見えませんでした?(笑) |
2004.03.25 |