画面外の君 |
「ね、ね。祐ー巳さん!」 お姉さまとのデートコースが決まらず、頭を悩ませている祐巳が廊下を歩いていると、呼び止める声が。 「蔦子さん!」 「さっき、志摩子さんと何話してたの? 静さまと、どこでデートするって、言ってた?」
|
目をキラキラ輝かせて迫る蔦子さんに、祐巳は疑惑の眼差しを向けた。 「まさか…デートの現場を隠し撮りするつもりなんじゃ…」 「だって、新聞部の三奈子さまに頼まれたんだもの。レポートだけよりも、証拠写真が一緒に掲載された方が、リアルだからって」 「………」 「?……祐巳さん?」 突然、押し黙って、じーっと見つめられて、蔦子さんは首を傾げた。
|
「蔦子さん……お会いするの、久しぶりよね?」 「………… 何言ってるの。最近はずっと顔合わせているじゃない」 はっはっは…と笑う蔦子さんの笑顔がぎこちない。 「でも…この間のバレンタインデーの新聞部企画の宝探しの時だって…。あんなに蔦子さんが喜びそうなイベントだったのに…」
|
「いたの。」 「え…?」 「ちゃんといたわよ、ええもちろん。この蔦子さんが、あんなにおいしいイベントを逃すはずないじゃない」 「でも…」 「イベントの写真は十分撮ったし、裏では笙子ちゃんとも会ったし、もちろん、祐巳さんと祥子さまの古い温室でのやり取りもカメラに収めてあるわよ!」 「つ、蔦子さん、顔がこわい…」
|
そう、いたのよ!画面に映らなかっただけで(泣)。 |
2004.03.26 |