由乃伝説II |
「令さま、この映画でよろしかったですか?」 ふりふりの可愛い勝負服に身を包んだ田沼ちさとさんが、初々しく令さまに話しかける。 「フッ…もちろん。さ、行こうか」 さすがはミスターリリアンというべきか。 令さまはごく自然に、ちさとさんの肩を抱いて、映画館へと…。
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「おっ……ああっ、おしい!」 物陰から躍り出た蔦子は、指を弾いて悔しがった。 「ほんの少し、シャッター切るのが遅れたわ…」 もう少しで、決定的な瞬間を捉えることができたのに…。 「それにしても、三千円の予算で映画を見るとは…もう、お昼代出ないんじゃない?」
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…と、「新・或る愛のロードオブモンスター」の看板を見上げた蔦子の目に…。 「うわあっ!」 …ドラゴンの頭の部分に張り付いているのは。 遠目でも見まごうはずのないあの三つ編みは、由乃さん! 「なに…肩なんか抱いちゃってるのよ、令ちゃんてば…」 地獄の底から響いてくるような、おそろしい声だった。
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「あれじゃあ、まるっきりホストじゃないのっ!」 バキッ…メキメキメキ…。 (…かっ、看板がっ!) 「うっ、うひぃぃぃっ!」 後ろも見ずに、蔦子は逃げ出した。
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由乃さん、怖っ!(^^;;; |
2004.03.28 |