似たもの姉妹


「祐巳」

「は、はいっ、お姉さま!」

紅薔薇のつぼみこと、小笠原祥子さまの声に反応して、祐巳の頭の上で、犬のような「耳」がぴくんと立ち、同時におしりから生えたふさふさのしっぽが、ばっさばっさと揺れる。

冷静に考えて、そんなものがついているハズはないのだが、周囲にいる者にはそれが見えてしまうのだ。

イッツ・祥子まじっく。

 


「なんですか、お姉さま…キャッ!」

どてーん!と派手な音とともに、ビスケットのような扉の前から駆け寄ってきた祐巳が転ぶ。

「…あなたって子は。どうしてそう、落ち着きがないのかしら」

「はい…」

きゅ〜ん…と見る間に祐巳のしっぽはしおれ、頭の上の耳が伏せられる。

お姉さまにしかられてしまった。しおしお。

 


窓際に寄せた椅子に腰掛けた紅薔薇さまは、そんな二人をじっと見ている。

怒ったような、澄ましたような顔をしている自分の妹に向かって、ぼそり。

「あ。祐巳ちゃんが、切なそうな目で祥子をみてる」

「えっ…(ぱたぱた)」

 


「(似たもの姉妹ね)」

祥子のおしりでふりふりと揺れるしっぽを見ながら、紅薔薇さまはしのび笑いを漏らした。

 

蓉子さまはどうなんでしょう。

2003.04.17

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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