つたこさんはみた。 |
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「ごきげんよう、みなさん!」 放課後のクラブハウス。 リリアン女学園新聞部の部室に、三年生の三奈子さまが妙に朗らかに入ってこられた。 今や、肩書きだけの部長となっている三奈子さま。 眠れる記者魂の目覚めか、はたまた受験勉強の息抜きに名を借りた現実逃避か。 集まっている少女たちに近況などを聞きまくる。
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正直、お姑さんみたいで、ちょっとうるさいなぁ…とか思う部員もいたが、もちろん口に出して言えるわけない。 言葉を濁しては、やりすごそうとするのだが、そこは天下の三奈子さま。挙げ句の果てには、 「何か、面白そうなネタはないの、ネタは?」 とか言い出される始末。 迷惑なことこのうえない。
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そんな中、一人黙々と自分のデスクで記事の推敲を続ける妹の姿を見つけて、三奈子さまは忍者のように、つつつ…と音もなく背後に回る。 「どうなの、真美。次の『リリアンかわら版』の進捗状況は?題材くらいは決まったのかしら」 三奈子さまのお姑攻撃にも慣れたもので、真美さんはきっちり分けた七三の頭をゆっくり上げた。 「もちろんです」 「そう。それで、内容は?」
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「お姉さまの失敗談特集です。 題して『リリアンかわら版の歴史と恥部』」
「ごめんなさいやめてちょうだいもう邪魔しません」 泣いてわびを入れると、三奈子さまは退散した。
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蔦子「恥部とまで(^^;)…おそるべし真美さん」 |
2003.04.25 |