「パワフルな高等部の生徒」

 

「私もコスモス文庫は全部読んでいるわけじゃないから、絶対とは言い切れないけど」

と、前置きをしてから、令さまは言った。

「それらしき話に覚えがないから、たぶん新刊なんじゃないかと思うのよ」

それは、「ほとんど読んでます」と言ってるようなもんじゃないかなぁ…と祐巳は思ったが、あえて言わない。

 

 

白薔薇さまの「自伝的小説」ではないかといわれる文庫本。

発売日が本日と聞いて、駆け出そうとする祐巳と由乃さんを令さまの言葉が引きとめる。

「さっき見てきたけれど、それらしき本、売り切れていた」

なあんだと、二人は再び椅子におすわり。

おあずけを言われた犬のようにしょげる祐巳の姿に、内心、祥子さまはモエモエ。

可愛くてよ、祐巳。フフフ。

 

 

「一冊しか入荷しないのを開店と同時に高校生が買っていったっていうから、試験の合間の休み時間に高等部校舎からダッシュした生徒がいたんだわ」

「パワーあるわねぇ」

由乃さんがあきれたように呟いた。

 

 

数時間前―――。

 

………ダダダダダダダダダッ!

「おばちゃんっ、今日入ったコスモス文庫の新刊ありますっ?!」

 

『いばらの森』というタイトルの文庫本を握りしめて、蟹名静さまは満足そうにうなずいた。

 

あなたでしたか、静さま(^^;)。

2003.04.26

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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