ふふふ、よいではないか

 

「瞳子ちゃん」

「………」

「ねえねえ」

「………」

「ねえねえねえ」

「…もうなんですかっ、うっとうしい!」

しつこくしつこくしつこく袖を引っ張られて、あまり気の長くない瞳子は、煩わしげに祐巳さまの手を払いのけた。

 

 

「怒ったの?」

当たり前です!と怒鳴り返そうとして…心なしかしゅんとした祐巳さまの瞳と目が合う。

ここで怒鳴ったら負けのような気がしたので、瞳子はぐっと言葉を呑み込んだ。

「…別に」

「そう?」

祐巳さまは、得心がいかないように小首をかしげた。

「あ、そっか」

唐突に、手をぽんと叩く。

「分かった」

 

 

「…何がですか」

不審げに眉を寄せる瞳子をよそに、祐巳さまはうんうんと一人うなずく。

「そうだよね。瞳子ちゃんだけに解いてっていうの、不公平だよね。うん、わかった。私も解いてみせてあげる」

「はあっ?!」

あっけにとられる瞳子に構わず、祐巳さまは髪のリボンに手をかけると、両のお下げを解いた。

ふぁさっ…。

 

「どう? 結んでないと、こんな感じになるんだ」

きゅん…っ

 

 

にっこり、と祐巳さまは無邪気に微笑んでいる。

髪を下ろした祐巳さまの印象は、見慣れたいつもの顔とどこか違って……

 

…はっ!

「〜〜〜〜〜〜っっ」

ごん!ごん!ごん!

「ちょ…、と、瞳子ちゃん?!」

 

一瞬でも気を許してしまった自分が許せなくて、テーブルにヘッドバッド、ヘッドバッド。

 

瞳子「ときめいていません!断じてときめいてなどいません!!」

2003.05.06

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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