蔦子さんが斬る |
「祐巳さんってさあ…」 お昼時。 蔦子さんは、お弁当のおかずのイカフライをはさんだまま、お箸をぴこぴこと振った。 「ん?」 向かいで卵焼きを頬張っていた祐巳さんと、隣で焼きそばパンをかじっていた由乃さんが同時に顔を上げた。 本日はめずらしく、教室でのランチタイム。
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「おいしいもの食べてるとき、小鼻がぴくぴくするのよね」 ずばぁっ。あうっ。 「う、うそっ」 祐巳さんは、ぼっと顔に火を付けた。 さすがは専属カメラマン(うそ)、祐巳さんのクセなんかもお見通し。 「ぷっ」 思わず吹き出した由乃さんを、祐巳さんはうらみがましい視線でにらんだ。
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「もう、由乃さん笑うなんてひどいぃ〜…」 祐巳さんの顔は、ぼーぼー燃えている。 「困ってるときも、ぴくぴくしてるわね」 笑いを堪えながら、由乃さん追い打ち。 「…!…!」 もはや声も出ず、祐巳さんは口元を隠してゆでだこになった。 「いいじゃない。可愛いんだから。それも祐巳さんの魅力よ」 「う〜」 蔦子さんのフォローにも、どうにも納得いかない様子。
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蔦子さんは、ふむ…と考えて。 「あ、祥子さま」 「えっ!どこどこ?!」 きょろきょろ。 ご機嫌ななめもどこへやら。 ご主人を探す子犬のように、両のしっぽがぴこぴこ揺れる。 そんな祐巳さんの顔をながめながら、蔦子さんはパックのウーロン茶をスズッとひとすすり。 祥子さまの姿を探すときが、一番ぴくぴくしているのだが、面白いから言わないでおいた。
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祐巳「お姉さま、どこですかぁ?(ぴくぴく)」 |
2003.05.09 |