ゴロンタといっしょ |
ヤボ用で久しぶりにリリアンを訪れた先代・紅薔薇さまこと水野蓉子さま。 スーツ姿がビシッと決まっておられます。 裏庭で偶然、親友が猫とじゃれているのに行き会った。
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「ハイ、聖。ごきげんよう」 片手を上げて、にっこりと微笑む。 かつての白薔薇さま、佐藤聖さまは猫を抱き上げながら顔を上げた。 「あ、丁度いいとこに来た。そこのドライフード取ってくれる?」 「…それが、久しぶりに会った友達に最初に言うセリフ?」 「今、手が離せなくってさ」 悪びれる様子もない薄情な友に、それでも言われた通り、近くに置いてあったドライフードの袋を手渡すのが、蓉子さまという人だ。 「さんきゅ」
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「ゴロンタ、大きくなったわね」 「そりゃ、一年も経てばね」 なでなでなで。 にゃー…ごろごろごろ。 「………」 「………」 すりすりすり。 にゃっ?! だきだきだき。 にゃにゃーっ!じたばたじたばたっ。
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「聖…。今、ゴロンタ抱きながら、祐巳ちゃんのこと考えてるでしょう」 「え、どうしてわかったの」 びっくり眼の聖さまに、蓉子さまは、わかるわよとため息をつきながら、ゴロンタを抱き上げて保護した。 「だって、目つきがいやらしいんだもの」 そう、ゴロンタはメスなのだ。
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聖さま「最近、スキンシップの機会が減って寂しいのよ」 |
2003.05.12 |