奥様戦隊

 

浴室は、ほどよく温まっていた。

桶でお湯を汲んで、身体にかける。熱めのお湯は、冷え切った皮膚には少しピリピリ感じられた。

じゃぶっ…ざぱーん…。

「極楽極楽」

湯に肩まで浸かると、思わずうなり声が出た。

令はふうっと息をついた。

 

 

「あらー、こりゃまた」

「どう思いますこと、紅薔薇さま」

「うーん…どう見ても、『美少年入浴の図』ね」

どばしゃざばーんっっ!

 

思いっきり浴槽の中でひっくりこける令。

 

 

「なんちゅーか、こう萌えが足りないっていうの?」

「あら、女性には評判良ろしそうよ。さすがは私の妹、見事なくらい外さないわ」

「でも、あれよね。これで由乃ちゃんと一緒に入ったりしたら犯罪ね、犯罪」

「あら、女同士なのに?」

「ばかね、紅薔薇さま。女の子同士だからじゃない」

「?よく分からないんだけど」

「あー、紅薔薇さまには今度ゆっくり教えたげるから」

 

 

ざぶぁっ!

「一体、どこから入ってきたんですかっ、お姉さま方!?」

浴槽のへりに手をかけて、なんとか立ち直った令は怒鳴った。

「あ、胸がある」

「そりゃあるでしょ。令だって女の子なんだもの」

「しかも、思ったより大…」

「わーっわーっ!!」

壁に耳あり障子に目あり、奥様戦隊ここにあり。

 

「ウァレンティーヌス」の挿し絵を見て思った人は多いはず(笑)。

2003.05.15

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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