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続・かりものきょうそう |
「いったい、どなたですのっ。『ドリル』なんてお書きになったのはっ!」 一度沸騰すると、なかなか収まらない瞳子ちゃん。 両手をぶんぶか振りながら、審判員に詰め寄ります。 「あ、それ私。」 そのオーバーアクションをさっそくパシャリとカメラに収めながら、悪びれもせず、蔦子さん登場。
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「…あなたですか」 瞳子ちゃんは、形の良い眉毛をぴくぴくさせながら、蔦子さんに向き直る。 よく祐巳さまと一緒の所を目にする、カメラの人だ。 「うん、そう。 お昼休みにちょっと頼まれてね」 「一体、どういうおつもりで『ドリル』なんて書かれましたの」 一応、口調は丁寧だが、たとえ上級生だからって、遠慮する瞳子ちゃんではない。 「どういう…って?どういうことかしら」 蔦子さんは、よくわかりません、という顔で、フレームのない眼鏡の位置を直す。
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「とぼけないでください! 一体、どこの世界に借り物競走で『ドリル』を指定する方がいらっしゃいますの。そんなの、借りられるわけないじゃないですか!」 瞳子ちゃん、再爆発。 ちなみに、1コマ目からまったくセリフのない祐巳は、ヒマなのか、瞳子ちゃんの髪の毛を背後からドリドリともてあそんでいる。
「借りられるわよ」 「は?」 いともあっさりと返されて、瞳子ちゃんは怪訝な顔で眉をひそめる。 「たとえば、あそことか」
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蔦子さんの指さした先には。
先ほどの競技の際に、ちょっとガタがきた入場門をドリル片手に応急修理する、リリアン発明部の姿が。
「「あ。」」
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これは一本とられたね(笑)。 |
2003.11.05 |