ロサ・フェティダ純情派 |
彼のどこに惹かれたか、なんて。 一言でいえることではない。 あえて言うなら、存在自体。
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彼は顔中ヒゲだらけの、言うなれば熊男。 年は10も違うし、奥様を亡くされて間もない。 おまけに彼は花寺学院の講師で、私はリリアン女学園の生徒。 父をはじめとする我が家の男共は猛反対で、門限は午後7時にされてしまった。
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でも、いいの。 そんなの障害のうちに入らない。 直接会えなくたって、遠くから見ていることはできるもの。 満たされない心を抱えたまま、行動をためらうような私じゃない。 そう、彼の後ろ姿を私は今日も追い続ける。
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「…江利子さん」 くるりと振り返って、仕事帰りの山辺は、心なしかげっそりした顔で言った。
「あの、こういうのって世間一般では、ストーカーって言うんじゃないでしょうか」 「あら、私は全然気にしませんから、どうぞお構いなく」 電信柱の影から、江利子はにっこりと微笑んだ。
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おそるべし、江利子さま(^^;。 |
2004.02.07 |