親友であるところの聖から話を聞いた鳥居江利子さま。

これは面白いと一計を案じられた。

ターゲットは、むろん可愛い妹の令。

　

　

　

今日も仲良く校舎から一緒に出てきた黄薔薇姉妹の由乃と令。

「おーい！」

誰かに呼ばれたような気がして、顔を上げた令と由乃の視線の先には、これまた顔を合わせるのは久しぶりな江利子さま。

「お姉さま！」

「…江利子さま」

正反対の表情を見せる令と由乃の元へ、その方は軽やかに駆けてきた。

　

　

「令、ひさしぶり」

「お姉さま、お久しぶりです」

「…先手必勝！」

だきっ

「うわ？！」

「！！！」

チュッ。

「ぎゃーーーーっっ！！」

されたのは令だが、悲鳴を上げたのは、由乃。

　

　

「んふふー。それじゃあね」

現れた時と同じように、その人は疾風のように去っていった。

後に残されたのは…。

（お、お姉さま…なんてことを…）

違う意味で茫然自失の令と、

「うがぁっ！きぃーーーー、くやしーーっっ！！」

不意を打たれたうえに、完全にお株を奪われて、為す術もなく令に八つ当たりする由乃の姿だった。