野望の王国 |
「菫子さん、ただいま」 「あー、おかえり」 玄関を入ると、いつものようにソファに両足を投げ出していた菫子さんが間延びした返事をした。 乃梨子は、ちょっと「困るなぁ」という顔をして、靴を脱いだ。 「今日は友達を連れてきた」 「あらまあ、お友達?」 それを早く言いなさいよと、菫子さんは手早く身繕いをして客を招き入れた。
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「お邪魔をいたします」 乃梨子と同じリリアンの制服に身を包んだ少女がきっちりと頭を下げると、バネのようなお下げが揺れた。 「これ、私の大叔母の二条菫子さん」 「こら。これとはなんだ、これとは」 「菫子さん、こちら同級生の松平瞳子さん」 「初めまして、瞳子と申します。乃梨子さんにはお世話になっております」 完璧な余所行きモードで瞳子は可愛らしく笑った。
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「こちらこそ、リコがいつもお世話になってるわね」 「乃梨子さんは1年生なのに白薔薇のつぼみを務められて、とてもご立派ですのよ」 「ふーん…リコがねえ」 「…で、そういう彼女は、紅薔薇のつぼみの妹になるという野望が」 「なななななっ何をおっしゃってるんですか?!」 「でも、山百合会には憧れてるんでしょ」 「う…」
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「で、あと空いてるのは紅と黄だけ。どっちがいいの?」 「そ、それは…どちらと聞かれれば……祐 指の先をつんつん突き合わせてもじもじしていた瞳子は、ハッと我に返ると、大げさな身振りで両腕をぶんぶん振り回して否定する。 縦ロールがぐりぐり揺れて、その仕草はやけに可愛らしい。
「面白い子だね」 「でしょう?」
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菫子さん初書き。 |
2004.02.22 |