つたとしろばら |
「おや、お珍しい。一人でお食事?」 講堂裏の指定席で、お弁当を広げたまま、ぼーっとしている志摩子をまずはパチリとカメラに収めて、その人は笑いかける。 志摩子もその人に気付き、ごきげんよう蔦子さんと、しとやかに微笑んだ。 「先ほどまで、祐巳さんも一緒だったのだけれど」 中庭の方に人影を見つけて、ちょっとごめんと言い残し、あっという間に走っていったのだという。 見れば、祐巳のものとおぼしき食べかけのお弁当箱が、無造作に置かれている。
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「ああ、それはあれだわね」 「あれ?」 細川可南子と松平瞳子、と蔦子は2人の一年生の名前を挙げた。 2人が険悪な雰囲気で歩いているところに、祐巳さんが仲裁に入った場面に出くわしたと、蔦子は話した。 「祐巳さんも、なかなか罪作りね」 そう言って、蔦子は笑う。 その意味を志摩子は量りかねたが、一つだけ分かったことがあった。
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「蔦子さんは、祐巳さんのことがよく分かるのね」 「え?」 「祐巳さんのこと、とても好きなのね」 花のように微笑まれて、カメラを構えていた蔦子は、面食らったように目をしばたたかせた。 「ええっと…」 「あら、違ったかしら?」 「…かなわないわね、志摩子さんには」
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やがて、蔦子は降参したように頬をかきながら、 「そうね、好きよ」 とはにかんだ。 そして、カメラを下ろすと、志摩子の隣にしゃがみ込んだ。 「でもね、それは志摩子さんだって同じなんだから」 「ありがとう…。とても嬉しいわ」 二人の少女は、顔を見合わせて、ふふっと笑い合った。
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お忘れかもしれませんが、私は蔦子さんも大好きです(笑)。 |
2004.02.29 |