つたとしろばらのつぼみ |
「ところで、志摩子さんにお願いが」 「お願い…? 何かしら」 蔦子はスカートの横のポケットから数枚の写真を撮り出して、志摩子に見せた。 「こちら。学園祭の写真部展示コーナーに飾らせていただきたいの」
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「……?」 キラリとふちなし眼鏡を光らせる蔦子から写真を受け取った志摩子は、そこに写っているものを見て、目を丸くした。 「まぁ…これを?」 「ええ。いかがかしら」 すると、志摩子は口元に手を当てて、くすくすと笑い出した。 「そうね…乃梨子がいいと言ったら、私の方はOKよ」
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「というわけで、来ました」 「はぁ…」 一年椿組。 ほとんど前置きなしで、唐突に上級生に詰め寄られた乃梨子は、思わずのけぞりながら小首をかしげた。 「いまいち状況が…」 「つまりね、この写真を展示するのに、あなたの許可を頂きたいわけ」 そう言って、眼鏡のその人は、一枚の写真を裏返しのまま、ついっと机に滑らせた。
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「?……げっ。」 乃梨子は思わず呻いた。 そこには、自分と白薔薇さま――志摩子さんが写っている。 それは別に問題ない。 問題なのは、桜の枝から垂れ下がる毛虫に驚いた自分が、ちょっと…いやかなりの間抜け顔をご披露していることなわけで。
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この二人の絡みも少ないなぁ。 |
2004.03.01 |