略して紅オプ |
「…今日は空いているわね」 バスの車内を見回して、祥子さまは呟いた。 「そうですね」 「このところの混雑は何だったのかしら」 祥子さまは首を傾げたが、すぐに後部二人席の窓側に座ると、祐巳を手招きした。 「…祐巳、こっちにいらっしゃい」 「はい♪」
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前号でお伝えした「紅薔薇台風」だが、現在は沈静化に向かっている。 とはいうものの、紅薔薇姉妹に対する高等部の熱狂度は相変わらずのボルテージ。 …にも関わらず、突然のこの状況である。 我々は事態の裏側を追った。
証言A それは、ごく丁寧な注意でした。私たちの行為が、どれほど紅薔薇さまと主にその妹に精神的苦痛を強いているか、滔々と語られたあと、その方はにっこりと微笑んだのです。『おわかりですか?』と。…その笑顔、背筋が凍るかと思いました。あんなに恐ろしい笑顔を見たのは、私、初めてです。今でも夢に見ます、頭の両側でうなりを上げるお下げ?を…。
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証言B それは、とてつもなく巨大な影よ。バスの乗降口に足をかけようと振り仰いだその先には…ぶるぶるっ。あれは2メートル…いえ、3メートルはあったかも。入り口を塞ぐように立ちはだかって、『二度と祐巳さまには近づくな』って…。メデューサって知ってる?そう、あの髪の毛がヘビのやつ。まさしくそんな感じで、長ぁ〜い髪が絡みついてきて…。私、夢中で逃げだしたわよ。その日以来、バス通学をやめたわ。
いずれも、にわかには信じがたい話ではあるが、同様の証言が多数寄せられていることから、信憑性は高いと思われる。 目下、この2名(?)の怪人物について調査中である。 (記事:山口真美)
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「こ、こわいですね、お姉さま…」 リリアンかわら版臨時号の紙面から顔を上げて、祐巳はうそ寒そうに身体を震わせた。 「そうね…でも、私たちは一度も見たことがないのはどうしてかしら」 首を傾げる祥子さまの横で、由乃さんが意味ありげな視線を流し台の方に送っている。 「恐ろしいですわねぇ、可南子さん。3メートルの巨人ですって」 「世の中何があるかわからないから、気をつけなくては。そのお下げ?の人物には特に」 なぜか、天敵である二人が、ホホホと乾いた笑いを交わしていた。
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紅薔薇のつぼみ専用・露払いオプション×2。 |
2004.03.08 |