さつさつ〜間奏 |
「それにしても…なんで蔦子さんと真美さんまで」 三人並んで歩いているので、廊下を占領しているみたいだ。のっしのっし。 「私、資料室に先生に頼まれたもの取りに行くだけなんだけど」 「あら、つれないわ。私たち、クラスメイトとして祐巳さんをお手伝いしようと思っただけですのに。ねえ、真美さん」 「ええ、そうですとも」 言いつつ、二人とも目をキラリと光らせている。 祐巳は、小さく肩をすくめた。
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「あ…」 廊下に見知った人影を見つけた祐巳は、思わず立ち止まって声をかけた。 「ごきげんよう、可南子ちゃん」 「…ごきげんよう、祐巳さま」 親しみを込めて微笑んだ長身の少女は、しかし、すぐに身を翻した。 「どうしたのかな…」 「彼女、細川可南子さんだっけ。なかなか隙がないのよね」 真美さんがいつも手にしている鉛筆で髪をかいた。 「うん。いつも今みたいに、すぐに逃げられてしまう」 蔦子さんも、構えていたカメラを下ろした。
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「もしかして、お二人のせいだったりして?」 新聞部のホープと、写真部のエース。確かに、ある意味こわい組み合わせではある。 「ちょっと、祐巳さん」 「それはないんじゃない?」 親しい友人でもある二人のクラスメイトは、非難を込めて両脇から祐巳を見た。 「たはは…冗談です」
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「あら、おそろいで」 背後からかけられた声に、2年松組の三人は一斉に振り返った。 「「「………」」」 じーっ…。
…もしかしたら、この方のせいでは? 言葉は発しないが、考えていることはみな同じだった。 「え?あら?な、なに…?」 無言のまま、あまりにも三人が見つめ続けるものだから、築山三奈子さまはたじろいだように一歩下がった。
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私は三奈子さまも大好きです。 |
2004.03.15 |