ひまつぶし |
「あー……ひま」 秀でたおでこを光らせて、黄薔薇さまはそれはもうヒマそうに呟いた。 ポーズもすっかりヒマ仕様。テーブルにぐでーん。 横で資料と格闘している紅薔薇さまの眉毛の角度が、5度くらい上がった。 その目が、そんなに暇なら、目の前の書類片づけなさいよ!と言っている。 でも、紅薔薇さまは大人なので、口に出したりはしない。
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自分がしっかりと仕事をしていれば、友もそのひたむきな姿に心打たれるだろう。 そして気付くのだ。私が間違っていたわ、と。 あくまで、自主性を尊重なのだ。 ぶに。 「あー……ひま」 あろうことか、黄薔薇さまは右手で紅薔薇さまのほっぺをいじくり出した。 「………」
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(喧嘩売ってる? ていうか、私売られてるわよね?) そっぽを向いているが、明らかに黄薔薇さまのにやけた気配が伝わってくる。 暇つぶしに、私を怒らせて遊ぶつもりだ。 その手には乗らないわよ、黄薔薇さま。 紅薔薇さまは左のほっぺを摘まれたまま、平静を装って、すっかり冷めた紅茶を一口含んだ。 ぶにっ。 「あー……退屈だねぇ♪」 …忘れていた。 敵は、一人ではなかったのだ。
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ティーカップを口に当て、両方のほっぺたをぷにぷにと引っ張られながらも、紅薔薇さまはしばらく耐えていた。 「おー、のびるのびる」 「あら、こっちだってもっと伸びるわよ」 「………(ぷるぷる)」 「やるかっ」 「やらいでかっ」 「はなたたひっ、ひいはへんにひなはいっ!!」 …ほっぺたを摘まれたままでは、あんまり迫力がなかった。
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このように紅薔薇さまは日々、闘っておられるのだ(笑)。 |
2004.03.18 |