紅薔薇家伝統の儀式 終章 |
「はぁ・・・」 電話をおいて蓉子はため息をついた。まさか祥子が祐巳ちゃんにあんなことを言うとはね・・・。 昔、私もそんなこと言ったなぁ。 そういえば私のときもお姉さまからお電話をいただいたっけ。 そしてやさしく諭してくださった。懐かしいな、私のお姉さま・・・。
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でも、お姉さまは誰からその話を聞いたのだろう。 あの時その場にお姉さまはいなかった。その場にいたのは確か、白薔薇姉妹だけ、はっ…。 そういえば白薔薇さまは、祥子のこととてもかわいがっていたわ。後で祥子に聞いたらなぐさめてくださったのは、白薔薇さまだというし・・・。
あ、私もお姉さまに同じ事を言われたことがあった。 あの時は、私も確か白薔薇さまに励ましてもらった。
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も、もしかしてこれは儀式?紅薔薇家伝統の儀式だというの・・・。 白薔薇家は自由奔放、黄薔薇家は一点集中って伝統ていうか気質というかがあった。 だけど紅薔薇家にはこれといった気質とか伝統みたいなもはないと思っていた。 でも、もしかして代々うちにこもる気質を持った子を妹に選んで、その内気な心を外に向け花開かせるのが伝統だとしたら。 一人の人格を変えるにも等しいことを伝統的に行っていたなんて、そしてそのことを知らずにその伝統を受けついでしまっている自分は・・・。
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さすがに起源種の名前をいただいているだけに恐ろしい伝統だわ・・・。 何だか寒気がしてきたわ。今日はもう寝ましょう。 明日は受験なんだし・・・。
でも・・・そうなると来年フォローに入るのは志摩子? 大丈夫かしら・・・・。
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ロサ・キネンシス |
2004.03.22 |