たとえばこんな姉妹宣言 |
「あの…ここへは、これをお返ししに来たんです」 意を決して、令はロザリオを差し出した。 「どうして?私が姉じゃ不満?」 江利子さまは動じた様子もなく、むしろ生き生きと目を輝かせた。 山百合会の幹部たちは、面白そうに成り行きを見守っている。 「いえ、そういうわけでは…」 「じゃ、なぜ返すの?」
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「あの…私たちは、今日お会いしたばかりです」 「そうね。でも、それが何?」 「何って…」 面食らって、令は目の前の人を改めて見た。 「3年間付き合ったって、合わない人は合わないわよ?私はあなたが気に入ったの。あなたを妹にしたいの。それじゃいけない?」 「私は…きっと江利子さまが思っているような人間じゃありません」 「名前覚えてくれたのね、嬉しいわ」 「〜〜〜」 この方の話は、どこからボールが飛んでくるかわからない。何とも掴みようがなくて、令は戸惑った。 江利子さまはクスリと笑った。
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「初等部の頃から剣道で鳴らし、少年のようなルックス。…でも、家庭科と裁縫の成績はずっと『5』で、女の子らしい性格の持ち主。私の想像通り…いえ、想像以上だわ」 正直びっくりした。 すでにそこまでリサーチを、しかも上辺だけの聞き込みでは決してわからないはずの、令の姿まで知っている。 「どこでそんなことを…?」 「好きな人のことを知りたいって思うのは、ちっともおかしくないでしょう?」 答えをはぐらかすように、江利子さまは笑った。 とても楽しそうな笑顔だった。令は、思わずその顔に見とれた。
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「妹におなりなさいな、令。あなたには私が相応しい」 まるで押し売りのような強引さだが、不思議といやではなかった。 「あなたはこれから私の横にいるの。決まり」 そして江利子さまは一つ、忠告めいたことを口にした。 逃げると追いかけるわよ、と。 江利子さまは、とにかく押しが強い。 そして、押しの強さには、ひたすら弱い令だった。
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まだ続いたりします(^^;。 |
2004.03.24 |