小笠原家の食事事情・わん |
「おい、これはすごいな。」 「今年は不漁だろう。これだけのモノはそうそう見られないぞ。」 男たちは興奮していた。 目の前には築地直送のマグロの塊があった。 高価な近海モノで、ただ金を積めば手に入れられるものではない。
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「よし、気合い入れろ!」 「はい!」 年長の男の号令に、若い二人が答える。 彼らは素人ではない。 雑誌やテレビに出ることはないが、この家を訪れた美食家をことごとく黙らせてきた。 ある有名料理人は「これは料理ではない、もはや芸術だ」とつぶやいたという。 最高の料理人と最高の食材。 その出会いが、食べる人をどんな笑顔に導くのだろう。
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コンコン。 「はい、どうぞ。 あ、これは奥様。」 「今日の夕食なんですけど、冷凍うどんにしてくださいね♪」 パタン。
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その夜、小笠原融はお抱えの料理人たちと大皿を囲んでいた。 「分かる。気持ちはよく分かる、私も同じだ。」 「若旦那様・・・・」 「まぁ飲め。」 融は徳利を傾ける。 夕食になりそこねたマグロは、軽くあぶると冷や酒によく合った。 普段は使用人と食事を共にすることなどないが、今夜は特別だった。 「今夜は飲もう。 な。」
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(みゃあ)母子そろって、罪作りな方たちだ(笑)。 |
2004.03.25 |