ここはカニーナが経営している『カニーナのお店』。

このお店は酒場であるが、冒険者の集まりとしての店でもあるのだ。

早い話し、勇者はここで無償で仲間を手に入れる事ができるのである。

しかし、祐麒は前回のせいで全くこの店を信用しなくなっていた。

　

　

「いつもいつもすみません、カニーナさん。今日も冒険者リスト見せてください」

「はい、どうぞ」

カニーナさんが仲間に出来ればなぁと思いつつ、勇者ユキチは辞書くらいの分厚さのリストを受け取った。

　

　

今回の祐麒の気合の入れようはすごかった。

　ペラペラペラ・・・

『名前・ヨシノ　職業・マジシャン　技・耳を大きくすること　特徴【“あっぱれ扇”強制装備】』

　無視。

『名前・トウコ　職業・工事現場のアルバイト　技・ドリルミルキーパンチ　特徴【ドリル】』

　無視！

そして・・・

つっ…ついに努力の甲斐あって、祐麒は最後のページまで到達したのであった！

　

　

「やっとここまで来れた・・・。何々・・・最後は『サチコ』…祥子さんか！これは期待できそうだ」

『名前・サチコ　職業・賢者　技・ローズウィップ　特徴【パーティ内に“妹”がいなければ常にバーサク状態】』

「こんなところにまで、妹依存症かよっ！？」

勇者の頭の中に、セーブが消えた時の効果音が鳴り続けた。