いちゃいちゃ |
「祥子さま!」
「なあに、祐巳…?」 返事をしてから、祥子さまは違和感に気付いた。 振り返りながら、怪訝そうに細い眉を寄せる。
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「祐巳?」 えへへ…と笑って、祐巳はぴょんっと祥子さまの側に寄った。 「お姉さま、以前、私に言われたこと覚えてらっしゃいますか?」 「?」 「『今後、祥子さまと呼ばれても、返事をしないことにしましたから』…って」 にこにこ顔の祐巳とは反対に、祥子さまはツン…とそっぽを向いた。
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「そうだったかしら。私、そんなこと言った覚えはなくてよ。あなたの勘違いじゃないかしら」 「あー、お姉さまったらずるーい。ご自分が引っかかったのを私のせいにして」 祐巳が、ぶーっと頬を膨らませる。 「知りません。大体、仮にそう言ったとしても、さっきのは不意打ちでしょう。あなた、卑怯よ」 「そんなこと言ったって、間違われたお姉さまが悪いんです」 「なんですって…!」
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「あの…止めなくていいんでしょうか」 二人の様子を見ていた乃梨子ちゃんが振り返る。 由乃さんは、やってられないわ…という顔で肩をすくめた。 「いいのよ。…久しぶりに一緒に帰れるから、いちゃいちゃしてるだけなんだから」 「いちゃいちゃ…」 はあ…と首を傾げる乃梨子ちゃんの横で、志摩子さんが口元に手を当てて、くすくすと笑っていた。
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レイニー祥子編のお口直しにどうぞ(笑)。 |
2004.03.31 |