えいぷりるいやんばかん |
「瞳子ちゃんってさー」 春の日差し差し込む薔薇の館。 「はい?」 ぽかぽか陽気に、ぐて…とテーブルにあごを載せていた由乃さんが、ネコ口でにゅふふっと笑った。 「祐巳さんが大好きなのよね」 ばたーん! まるで熟練の喜劇俳優のように、瞳子ちゃんは椅子に座ったまま、真横にコケた。
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「…おっしゃる意味が、よく」 何事もなかったように起き上がった瞳子ちゃんは、椅子を直しながら、コホンと咳払いした。 「またまたぁ〜」 「…まあ、そうだったの?瞳子ちゃん」 花粉だか桜だかで、相変わらず春先は調子の良くない祥子さまが、ボケる。 「さっ、祥子お姉さままで、何をおっしゃるの?!」
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「とぼけても無駄よ!さあ、キリキリ白状しなさい」 昨日読み返した小説が残っているのか、やけに時代劇がかった仕草で、瞳子ちゃんに詰め寄る由乃さん。 「で、ですから私は別に…」 「ほらほら、吐いてしまいなさい。祐巳さんのこと、らぶらぶ、大好き、愛してますぅ〜って」 「だっ……!誰が祐巳さまのことなんて… わ、私…… 祐巳さまなんて、大嫌いです!!」
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どさ…。 「はっ」 「瞳子ちゃん…」 振り返ると、当の祐巳が戸口に立っていた。 「あ、あの…いまのはっ」 「うれしいっ!!」 「……は?」 目を白黒させている瞳子ちゃんに、祐巳は抱きついた。 「瞳子ちゃん。今日、何の日か知ってる?」 由乃さまが、にやにやと笑っている。 「今日は4月の………はっ!!」 (はっ、はめられたー!)
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四月になっても祥子さまがいるって?4コマに季節感なんか求めちゃダメ(笑)。 |
2004.04.01 |