「祐巳さん、なんか暇ね」

薔薇の館の窓に顎をのせながら、由乃が気怠げにつぶやく。

「そうね、お姉様たちはまだこないし、志摩子さんは委員会だからね」

　アイスティーを飲みながら、祐巳もダルそうに答える。

「あっ、そうだ。古今東西やらない？」
「いいよ。で、お題はなに？」
「あたしたちの周りって枕詞の付く人間がいっぱい居るじゃない。その枕詞ね。身内ネタもＯＫ」

「ＯＫ。由乃さん、負けないわよ」

　

　

「じゃあまず、ミスターリリアン」

「セクハラ親父」

「デコパチ」

「ギンナン王子」

　

　

　−２０分後−

「ツインドリル」

「背後霊」

「Ｄ４○ンセス」

「黒い巨塔」

「七三とカメラちゃん」

「…うーん、出ない。由乃さん、ギブアップ」

「やったー。勝った」

　

　

「今のって、真美さんと蔦子さんだよね」

「あの二人の他に誰がいるの」

「あたし、新しいコンビ名があるの」

「なに」

「あの２人って、何気にネットワークしているじゃない。だから蔦子・真美ネットワーク。訳して…」

ガチャン

「「「ＴＭネットワーク」」」

「ぎゃあ」

「祐巳、ボキャブラリーが聖様以下よ」
「あっ、祐巳さんの新しい枕詞［聖様以下］」

　その頃

「へークションッ。うーん、誰かが愛してるって噂してるのかな」

「サトーさん、誰がそんな噂するか！！」