桜の花びらが雪の様に舞う四月。

薔薇の館では、３薔薇さまとそれぞれの薔薇の妹達が、新入生歓迎・マリア祭の準備のためにいろいろと作業をしていた。

　

　

が、その手が進んでいない人が約１名

「お姉さま…」

そう、小笠原祥子さま。その人である。

桜が嫌いな彼女にとって、この季節はため息しか出ない時でもある。

　

　

「大丈夫よ、祐巳ちゃん。祥子１人いなくても、５人いれば何とかなるって。

それに祥子は、マリア祭で『紅薔薇さま』として活躍してもらうから」

黄薔薇さまはそういって、作業を続ける。

たしかに、５人いればそれほど支障は無いだろう。

　

　

「ところで」

誰かが呟く。

「５人目って誰ですか？」