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とある休み時間。 「見て、白薔薇さまよ」 「まあ、本当…!」 「二年生だというのに、なんて貫禄なのかしら!」 目ざとい生徒が窓ごしに見つけた姿に、一年生の教室が並ぶ廊下で、きゃーっと黄色い声が一斉に上がった。
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「素敵ねぇ…」 「あら…でも、どうしたのかしら、沈んでらっしゃるように見えるけれど」 フランス人形によく喩えられるその方は、イチョウの葉が舞い散る中を、物憂げに歩いてくる。 「ああ…愁いに満ちたお顔も素敵…」 妹である二条乃梨子が聞いたら、目をつり上げそうなセリフを生徒の一人が口にした。 ・
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「はぁ…」 志摩子は頬に手を当てると、深いため息をついた。 「どうしたのかしら、今日に限って」 声に出して呟いてしまったのにも気付いていない。 視線を足下に落として、今度はイチョウ並木を見上げる。 「今日に限って…一つもギンナンが落ちていないなんて」
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「白薔薇さまっ、ごきげんよう!」 くるっ。 「ごきげんよう…」(儚げな微笑み) きゃーっ!!
…このように、彼女の趣味は意外と知られていない。
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知っていたら、こぞってギンナンを届けに来たりして(^^;。 |
2004.04.12 |