おばあちゃんといっしょ |
放課後。 珍しく、薔薇の館の2階には、黄薔薇さまと由乃しかいなかった。 つまらなそうに参考書のページを繰る黄薔薇さま。 由乃の飲んでいる紅茶は、すでに3杯目。 最初のあいさつから、一言も言葉を交わしていない。 ぱら……ぱら……。 ズズ…。
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……間が持たない。
張りつめている。 張りつめまくっている。 実際には、そう感じているのは由乃だけなのだが。 (んもーっ、令ちゃん早く来てよ!祐巳さんでも志摩子さんでも、祥子さまでもいのにぃ…) だが、表情にはおくびにも出さない。出したら負けだ。 何が負けなのかはよく分からないが、とにかく平静に…。
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「由乃ちゃん」 きたっ…! 「…なんですか、黄薔薇さま?」 にこっ。可能な限り、可愛く笑ってみる。 黄薔薇さまは、そんな由乃をぼーっと見て、 「…いえ、やっぱりいいわ」 にやり。意味ありげに笑って、読書を再開。
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(な、なに…今の笑いは) 自分に何かおかしなところでもあったのだろうか。 それとも、何か遠大な企みが…?! 考えれば考えるほど、黄薔薇さまの思惑にはまっている気がする。 (あー、もうなんなのよっ、むきーっ!)
そんな由乃の内心の葛藤を、黄薔薇さまはうってかわって楽しそうに見やる。 セーラーカラーの後ろがはねているのを教えようとしただけなのだが、面白いから、もうしばらく黙っていよう。
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これも江利子さまなりの愛情表現(笑)。 |
2004.04.14 |