触れると汚れてしまいそうで

 

「蔦子さんって、スールは持たない主義だよね」
「おや、ロサ・キネンシス・アン・ブゥトンは妹選びについてお悩みのご様子で?」
「すごい、どうしてわかったの?」
「まぁ、他ならぬ祐巳さんのお気持ちは常に察しておりますのよ」
 
 瞳子ちゃんを眺めて溜め息をついたりしている百面相でバレバレですよとは言わない。
 
「プレッシャーはあるでしょうけど、祐巳さんがしたいようにするのが一番いいんじゃないかな」

 

 

「うーん、それで決められないから妹作らないのはどうかなって思って……」
「なるほど、それで私の考えを?」
 
 こくりと頷く祐巳さんの憂いげな表情をパチリと一枚確保してから、蔦子さんは眼鏡をクイと直して語った。
 
「私がスールを作らないのは、もちろん写真活動に当てる時間が減るのを嫌っているから。……というのもあるけれど、むしろこの学園の生徒全てを愛しているから一人に決められないのかも知れないわ」
 
 語りながらも通りすがる乙女たちの姿をバシバシフィルムに焼き付けている。

 

 

「大袈裟に言えば全てのリリアン生徒が姉であり妹であるわけよ」
 
 祐巳さんに顔を向けないのは、もしかしてちょっと照れているのかな。
 
 祐巳さんは蔦子さんの立場になったと仮定してみた。
 そしてやはり蔦子さんのようには生きられないと分かった。お姉さまが一番好きだし、大親友の由乃さんと他の生徒を同列に並べるなんて出来そうにない。
 
「蔦子さんって凄いなぁ……」

 

 

「全ての人に等しく愛を与えるなんて、マリア様みたい」
「うわ、祐巳さん、ごめん。今の話思いっきり建前だから、そう純粋な目で褒め称えないで。
 いたたまれないわ」
 
 祐巳さんの天然パワーの前に蔦子さんは懺悔したくなった。やれやれ、どちらがマリアか。
 
「本音を明かすとね、私なんかが教え導いたら、とんでもないすれっ枯らしに育ちそうでイヤだなあ、と」
「えーっ、そんなこと」
 
 ない、って咄嗟に言えなかった。

 

(みゃあ)愛のベクトルが違う気もする(笑)。

2004.04.14

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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