彼女がドリルをほどいたら |
いつもと同じようで、違う朝だった。
「ごきげんよう、敦子さん。美幸さん」 「あら、ごきげ…ん?」 「よ…う…?」 仲の良いクラスメイトの二人は、振り返ったまま、頭の上に「??」マークをいくつも浮かべている。
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「あの…?」 いい加減、浮かべた笑顔が引きつってきた頃。 「もしかして…」 「…瞳子さん?」 「そうですけれど」 二人は同時に目を丸くした。
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「まあ、これは失礼しました。いつも見慣れたものがなかったものですから…」 「すぐには、どなたか分かりませんでしたわ。ごめんなさいね」 「…いいえ、お気になさらず」 笑顔を浮かべてはいたものの、内心は複雑だ。 お二人とは長年のつき合いなのに、まさか髪を解いただけで、こうも被認識力が落ちるとは。 その時、きょろきょろしながら、教室に乃梨子さんが入ってきた。 「ごきげんよう、乃梨子さん」
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「あ、ごきげんよう」 彼女が小さく微笑んだので、瞳子はぱっと顔を輝かせた。 さすがに乃梨子さんは、すぐわかってくれた。 「ところで、あなた。瞳子見なかったかしら?」 「………」 目の前にいるのは、誰だと思ってらっしゃいますのコンチクショウ。
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口調がお下品ですわよ、瞳子さん(^^;。 |
2004.04.18 |