聖さま・景さま、イタリア漫遊記・その3
イタリア滞在3日目。 ローマ観光もそこそこに、私たちは早朝の特急でローマを立った。午前中にフィレンツェに着き、バスで郊外を目指した。 郊外の一軒家、そこが目指す先だった。
「静!元気してた?」 家の中から小走りで出てきた日本人の少女に、佐藤さんが掛けた、それが第一声だった。 二人はしっかりと抱き合い、それから握手をした。 大人びて見えるが、まだ高校生の様に、私には見えた。
家の近くの丘陵で、2人は小一時間ほども話合っていただろうか。 2人だけで話したいというので、私は2人が見える丘の木陰で、駅で買ってきたパニーニと牛乳で、遅いブランチを採り、話が終わるのを待った。 そして、見た。 佐藤さんと静さんが、唇を合わせて深いキスをして別れるのを。
「ちょっと何よ、あれ」 私の詰問に佐藤さんは、珍しくバツの悪そうな顔をし、「見てたんだ」と言葉少なに答えた。 「あれはねー、そう口封じよ」 「口封じ?」 「そ、明日、あの子たちが来ても、今日の事は話さないっていう口封じのご褒美」 「あなたまた悪巧みしてるでしょ?」 「え…」本当に意外そうな顔だった。「ううん…私はあの娘の想いに気づいて上げられなかったんだ。だから、今、埋め合わせをしてる訳」。 一応、信じることにした。 しかし、その埋め合わせがディープ・キスとは。 リリアン女学園には、高校まで共学だった私には伺い知れない、深くてドロドロしたものがある様子だった。
(みゃあ)聖さま、それはやりすぎじゃ…(^-^;
2004.04.22