笑わない妹 |
うちの祥子は、なかなか笑わない。 姉になって、早数ヶ月。私でさえ、彼女が笑ったところは数えるほどしか見た覚えがない。 黙っていても、類い希なる美貌を持っているのだから、さらなる輝きを引き出すのが、姉としての私の義務ではなかろうかと思う。
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「祥子、もう少し愛想良くしたら?」 そう言うと、彼女は顔をしかめて、ますます仏頂面になる。 そんな顔も可愛いと思ってしまうのは、姉の性か。
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「ほら、そんな顔してると眉間に皺が寄って、戻らなくなるわよ。祥子は笑うと可愛いんだから」 「…お姉さまは、すぐにそんなことをおっしゃるんだから」 わずかに顔を赤らめながら言うところが、また可愛い。 「ね、やってごらんなさい。こんな風に…」 にっこり(きらきらきらきら…☆)。
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「…できません」 「もう、聞き分けのない子ね。…それじゃあ、これならどう?」 こちょこちょこちょ…! 「!きゃっ…な、何をなさるの、お姉さまっ!」 腕を振り払って、祥子はこわばった顔で私をにらんだ。 その時、私は思ったものだ。 この子は、あまり笑いに寛容ではないなと。
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蓉子さま、それ間違ってます(^^;)。 |
2004.04.28 |