夢から覚めて〜弟は○○○〜 |
「『バイバイゆみちゃん』」 遠くで誰かがしゃべってる。誰? バイバイってなんで? ちょっと、待ってよ。 「待って!!」
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目を開けるとお姉さまがいた。少し怒っているみたいだ。 「あなた、妹のユタちゃんは?」 お姉さまが目を覚ました瞬間、聞いてきた。 お姉さま、どうしたんだろう。ユタは、 「ユタは弟です。たぬきだけど・・・。あれ、ユタ?どこにいるの?」 今まで膝にいたユタがいない。どこに行ったんだろう。
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「えっ、あら!そうなの。弟・・・たぬき・・・??」 ほゎ?どういう意味なんだろう。お姉さまは恥ずかしそうに笑っていたがふいにやさしく 「ユタちゃんはおうちに帰ったのよ、きっと。 でも、しっかりお別れの挨拶はしているわ、ほら」 お姉さまの視線をたどると、私の膝だった。 スカートがユタの足跡で少し汚れている。 でも、イヤじゃない。むしろうれしい。
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「ほら、立って。もう、下校時刻は過ぎてるの」 お姉さまが手を差し出してくれる。 あれ、でも。 「もうそんな時間なんですか?」 どうしよう。そんなに眠っていたなんて。 また、百面相をしちゃったのだろう。 お姉さまがやさしく 「起こすのは気が引けたの。もう暗いから帰りましょう」 私は差し出された手を取った。 足跡は消さない。今日くらいはつけておきたい。 叱られたって消さない。弟の足跡だもん。
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まるで絵本のような、優しい物語でした。 |
2004.04.30 |