見守る目 |
午後のゆったりした時間は快適すぎて生徒にとっては毒のようです。 視界に見える紅薔薇のつぼみもこっくりこっくりと舟を漕ぐのを我慢している模様です。 そんな祐巳さんを見て、数ヶ月前のことを思い出した。
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「心配おかけしてすみません」 「いいのよ、これは私のお節介なんだから。祐巳さんに作り物の笑顔なんかさせたくないだけ」 そう言ってお姉さまはこちらに向かってきた。
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「ずいぶん祐巳さんにご執心ですね、お姉さま」 「あぁ、真美。嫉妬?」 「そんなわけ無いじゃないですか」 去って行く祐巳さんを眺めながらお姉さまはまじめな顔で言った 「あの子は多分、山百合会の…いえ、リリアン女学園の要となるかもしれないと私は読んでる。 その子が挫折しないように手を伸ばすのも悪く無いわ」 「お姉さま……」 「それに私が育てるべき雛鳥は見守る必要がなくなっちゃったしね。 真美、祐巳さんから目を離さないようにね」 「はい」
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「祐巳さん」 「あ、由乃さん」 祐巳さんは由乃さんと一緒に学園祭の準備のために薔薇の館に向かう。 お姉さま、紅薔薇のつぼみは今日も元気のようです。
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(みゃあ)(ToT)。なんて素晴らしい目の付け所…。 |
2004.05.03 |