同病相憐れむ

 

修学旅行で二年生が不在の薔薇の館。

毎日のように漂う険悪な雰囲気に乃梨子はうんざりしていた。

その発生源はもちろん、松平瞳子と細川可南子。

なぜ、こんなにも相性が悪いのか。

 

 

リリアンがお嬢様学校であるためか、あるいは2人の性格によるものか、口汚く罵り合っての喧嘩というわけではない。

ただ、異様に張り詰めた雰囲気と、無言のまま時折交わす稲妻のような視線の応酬が、空気を重〜く変質させるのだ。

 

 

こんな空気の中で、仕事がはかどるはずもない。

ただでさえ、妹不在の紅薔薇さまと黄薔薇さまは役に立たないというのに。

「…いい加減にしてよ、あんた達」

乃梨子は深〜いため息をついて、机に突っ伏した。

 

 

ぽんぽん。

肩を叩かれて、乃梨子は振り向いた。

見知らぬ知的な顔立ちの黒髪の女性が、親指を「ぐっ」と突き出し、るるー…と涙を流しながら何度も頷いていた。

わかって…わかってくれるんですね、この苦労を!

でも、この人だれー?!

 

前紅薔薇さま(笑)。

2004.05.04

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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