足音比較・三歩目 |
「あなたたち…随分と暇を持て余しているようね」 令さまの次にやってきた祥子さまは、事情を聞いてあきれたようにため息をついた。 「でも、本当に特徴があるんですよ。お姉さまがいらっしゃるのは、すぐに分かりましたし」 祐巳が笑顔でレモンティーのカップを手渡した。 祥子さまは無言だが、お尻の辺りで見えないしっぽがバッサバッサ揺れている。
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「私も、祐巳さまの足音ならすぐにわかります」 「え、ほんとに?やっぱり私、ばたばたしてるからかなぁ」 対抗心を燃やして体を乗り出す可南子ちゃんに、相変わらずズレた反応の祐巳。 「これで、あとは瞳子だけかしら」 ほぼ全員集合した一堂を見回して、乃梨子ちゃんが言った。
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「あ、来たみたい」 と、祐巳は席を立った。 「え?」 由乃さんをはじめ、耳を澄ませてみるのだが、足音は聞こえない。 しかし、祐巳は迷うことなく戸口へ向かった。 カチャ。 「ごきげん…」
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「瞳子ちゃん♪」 「よひょぉっっ?!」 扉を開けた瞬間、目の前に祐巳のドアップ。彼女は奇声を上げた。 「とっ、と、扉の前に立たないでください、祐巳さまっ!」 真っ赤になって怒りながら、瞳子ちゃんは祐巳の横をすり抜ける。 「…足音がしないのに、どうしてわかるのかしら」 だれかが呟いた。
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ドリルの回る気配で(笑)。 |
2004.05.09 |