足音比較・四歩目 |
紅茶煎れてあげるねいいえ私が自分でやりますからお構いなくっ…という祐巳と瞳子ちゃんのやり取りを見ながら、祥子さまはふと、扉の開く音に気が付いた。 今のは、一階の入り口のドアが開く音…。 紅茶のカップを置いて、室内を目で追う。1、2、3…7人、すでに全員揃っている。
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やがて、誰かが階段を上がってくる音が聞こえてきた。 のっしのっしと、力強く勇ましい足音だ。 それが、厄介ごとを運ぶ使者のものであると、その場にいる全員が知っていた。 一堂は顔を見合わせあって、一つ頷いた。
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バン! ココンという小気味良いノックのあと、勢い良く扉が開いて、その方が現れた。
「ごきげんよう、山百合会のみなさん!」
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「祐巳、そちらの資料を取ってちょうだい」 「はい。これですね、お姉さま」 「黄薔薇さま、お茶のお代わりはいかがでしょう」 「ああ、もらうわ」
「あの…少しは驚くとか嫌がるとかしてもらえないと、私の立場が…」 なんとなく寂しそうに、三奈子さまは呟いた。
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嫌がられているのは気付いてるんですね、三奈子さま(笑)。 |
2004.05.10 |