創作劇

 

「ねえ、祐巳さん」

放課後、薔薇の館で紅薔薇のつぼみ、福沢祐巳と黄薔薇のつぼみ、島津由乃の二人だけでお茶を飲んでいたが、由乃は思い出したように言った

「今年の学園祭では山百合会で創作劇をやろうと思うの」

「創作劇?」

 

 

「そう、実は令ちゃんには内緒でもう脚本を書いてきたんだ」

そう言って由乃は自分のかばんの中から一冊のノートを取り出て開いたそして、開いたページに目を落として言う

「祐巳さん、主役ね」

「へっ? わっ、私が?」

「そうよ。去年のシンデレラでは祥子さまが主役を務めたのですから、別におかしなことじゃないでしょう?」

「そっ、そうだけど…でも祥子さまのようには、私はできない…」

 

 

祐巳のそんな声には耳を貸さず由乃は説明を始めた

「まあジャンルとしてはアクションサスペンスかな。なかなかいい出来だと思うけど…これは祐巳さんの演技力にかかっているの。いや、祐巳さんじゃないと不可能なのよ、他の人では成立しないの…」

祐巳の頭の中に悪い予感が過ぎった

そして、おそるおそる聞いてみる

「由乃さん…その劇のタイトルはなに?」

 

 

由乃はしばらく黙って、そして答えた

「…怪人百面相」

「それ私、出落ちだよね!! そうだよね!!?」

 

出落ち:その存在や風貌ゆえに登場しただけで笑いが起こる人、または状態。

 

(みゃあ)そりゃ祐巳にしかできないわ(笑)。聖さま大喜び。

2004.05.15

 

爆笑! くすりっ もえ~ じんわり つまんない

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