強祐巳・いたずら |
梅雨の間の登校は荷物が一つ多い。 薄いピンク色の傘を差しながら、瞳子は紫陽花の花の咲く場所を通り過ぎる。 花は、綺麗なブルーをしていた。
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傘を左手に、カバンを右手にしてマリア像に手を合わせるのは、結構な難事だ。 まして、制服やカバンが濡れないように努めるならば。 肩に傘の柄、手首にカバンを引っかけて、不器用に手を合わせる。 次の方に場所を譲って、瞳子は生徒たちのひしめく昇降口へと向かった。 傘から水を滴らせながら、下足箱を開ける。
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ゴン。
「ゆ…ゆ…祐巳さま〜〜〜〜っ!!」 昇降口でおたけびを上げる少女が一人。 以前、上履きにクリップを入れられたことのある乃梨子が、背後をスタスタと冷静に通過。
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しかもレイニーブルー中(笑)。 |
2004.05.17 |