ある日の事 |
薔薇の館・サロン 「お姉様。再来週の日曜、ご予定はありますか?」 「再来週?ちょっと待ってね。…何も予定は無いわ」 「ならば、あたしとお買い物デートしませんか?」 「買い物デート?良いわよ」 「では、待ち合わせ場所などはまた今度で」
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薔薇の館・ビスケット扉の外側。そこに扉にピッタリと張り付く影。 「へー、祐巳さんはお姉様とデートね。これはスクープだわ」 スクープアンテナのポニーテイルが、嬉しそうに揺れる。 同刻・とある公園にて、自慢のデコチューナーで情報を拾った美女が笑みを浮かべる。 「再来週の日曜ね」 その少し後。 「サトーさん。その無線機みたいなの、なに?」 「盗聴器。秋葉原で閉店価格1万円だった」 「盗聴器って…」 「これで薔薇の館の会話は完璧に判るは」 「勝手にしなさい…」
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当日。 「あら、そこにいるのは江利子様」 「そういうあなたは築山三奈子さん」 「まったく、三奈子様も江利子様も、質が悪いわ」 「江利子さまたちって、どこからこういう情報を拾うんでしょうね」 「ポニーテイルとおデコでよ、祐巳」 「それはそうと祥子様。そろそろ行かないと、靴が無く…」 「そうね。そのあと、お昼にウェンデ○ズでアメリカンスタイルのハンバーガーを食べるのだったわね」
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ガチャン 「はーい、いらっしゃいませ。お待ちしてたわ、紅薔薇姉妹」 「ギャウッ」 「ダメね、二人でこそこそとデートする時は、盗聴器とかで盗み聞きされてないかとか気にしなくちゃ」 「…ということは、薔薇の館での会話を盗聴なさったのですね」 「祥子もまだまだ注意が甘いわね。はーい祐巳ちゃーん。ハグハグしましょ…」 パッコーン 「前白薔薇様の佐藤聖様、他の買物客の方に抱き付かれないで下さい」 「痛っ。何するんですかって、うわっ!!」 「蓉子様!!」 「盗聴しているのはあなただけじゃないの。 「蓉子、襟を持って引っ張らないで、耳に息吹き掛けかけないで。力が抜ける〜」 「…やっぱり聖様が一番、質が悪いですね」 「そしてお姉様は最強に恐いわね。さぁ祐巳、デートの続きをしましょ」 「そうですね」
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(みゃあ)何事もなかったように予定を進める祥子さまがステキ(笑)。 |
2004.05.18 |