強祐巳・目標視認

 

「祐巳、帰ったの?」

別荘の玄関をくぐった祐巳は、すぐにお姉さまに見つかった。

「ただ今帰りました」

テラスに歩み寄ると、小鳥たちのさえずりのような笑い声がピタリと止まった。

「皆さん、学校で私の妹になった福沢祐巳です。仲良くしてやってくださいね」

「よ、よろしくお願いします」

 

 

頭を上げた祐巳の目に映ったお客さまたちは、皆、アゲハ蝶だった。

「よろしく、祐巳さま」

「祥子さまの妹になられたなんて、うらやましいわ」

「素敵な方。ぜひ仲良くいたしましょうね」

蝶たちがほほえみ、口々に美辞を述べる。

しかし、祐巳はロクに聞いていなかった。

 

 

目標視認。ターゲット・ロック。

「ごきげんよう、祐巳さ…」

「わあい、瞳子ちゃんだー!」

突進。

びよんびよんびよん。

「元気だった?」

「って、どこに話しかけてるんですかっ?!

 

 

「えへへ…久しぶりだね」

なでなでなで…。

「あ、頭を撫でないでくださいっ!!」

完全に置いてきぼりにされたお嬢様3人は、唖然とその光景を眺める。

「くす…」

祥子さまは、コーヒーカップを傾けながら微笑した。

 

この祐巳、最強(笑)。

2004.05.18

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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