松平家についた祐麒は…

「では、この服に着替えてください」

そういって、リリアンの制服（もちろん女生徒用）を手渡されていた。

しかも、祐巳がつけている紅薔薇のロザリオと、祐巳そっくりのウイッグも一緒に。

「こ・こんなの着られるわけないだろう！」

「では…お兄さま…」

「わーっ！　やりますやります！」

　すでにいい様に操られている祐麒だった。

　

　

着替え後…そこには祐巳がいた。

「やはりそっくりですわ」

「………何をやらせるつもりなんだ？」

「この台本どおりにお願いします♪」

そういって手渡されたのは、１冊の台本

　

　

マリア様の像（の書き割）の前、二人は向かい合っていた。

『瞳子…私の妹になってちょうだい』

「………はい、喜んで」

『では、ロザリオを』

そして祐巳（仮）は、瞳子の首にロザリオをかける。

『これで貴女は私の妹。これからはお姉さまと呼びなさい』

「はい………お姉さま♪」

　

　

「………で、これに一体何の意味があるの？　瞳子さん？」

「それはもちろん、本番前の練習ですわ♪」

練習とはいえ、祐巳と瓜二つの祐麒にロザリオを渡されて、浮かれまくっている瞳子だった。

「あ、もちろんこの事は祐巳さまには…」

「話せるわけ無いだろう」

対照的に肩を落とす祐麒だった。