江利子さまの失策

 

「いい加減、全てを話しなさい。
 刑事ドラマみたいにカツ丼おごってあげるから。」

「だから、黄薔薇革命に関することは以上で全てですよ。」

薔薇の館で黄薔薇さまに捕まった祐巳は、ここ2週間の事情聴取を受けていた。

「これ以上は本人に聞いてください。」

「う〜ん、そうねぇ。」

口ではそう言いつつ、未だ物足りないご様子。

 

 

「ところで、黄薔薇さまはどうして令さまを妹にされたんですか?」

とりあえず事情聴取から逃れるために話題を変える。

「面白そうだったから。」

「は、はぁ。」

面白そうって、クールなイメージの令さまは面白いという分類なのだろうか。

 

 

「入学前のエピソードがまた面白いわね。
 ポンチョを買いに行けば、”入学される方の身長はいくらぐらいですか”と素で聞かれるし。
 制服の採寸に行けば”花寺ではなく、リリアンなんですね?”なんて聞かれるし。」

祐巳の脳裏に、ショックでしゃがみ込む令さまの姿が浮かぶ。

そして、その背後で

「仕方ないじゃない、令。」
「そうそう、令ちゃんが悪いわけじゃないわよ。」
と、慰めなのかどうか分からない言葉をかける親友と妹の姿も。

「まぁこれは後で知ったエピソードなんだけど。
 でも私の目に狂いはなかったわ。
 これだけ面白い人間は見たことがないわね。」

令さまがいたら泣きそうなことを言いながら笑う黄薔薇さま。

 

 

 

その翌年度に、それをさらに超えるエピソードを持つ少女が入学し、お聖堂で一騒動起こしたあげくに白薔薇のつぼみになるなんてことはさすがの黄薔薇さまでも分からないのであった。

 

 

(みゃあ)江利子さまなら、きっとどこかで見ていたに違いない(笑)。

2004.05.19

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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