強祐巳・想像

 

「ごきげんよう、祥子お姉さま。祐巳さま」

瞳子ちゃんだけ、少し遅れて歩き出す。気になったので、祐巳は追いかけて「どうしたの」って尋ねた。

「噂話を途中でやめさせてしまったかわいそうな人たちに、せめて私の悪口を言えるだけの間合いを取ってあげようと思ったまでです」

「ふうん。大人なんだ」

 

 

「感心してる場合じゃないですよ。あの子たち、帰宅したらさっそく祐巳さまの噂をばらまきますからね」

瞳子ちゃんは、わざわざ立ち止まって忠告してくれた。いや、むしろ口調は脅しに近いかもしれない。

「みんな、ずっと祥子お姉さまに憧れてきたんですもの。後から出てきて妹に収まった祐巳さまなんかに、いい噂を流すはずないですよ」

「そうか、瞳子ちゃんがあと三人なわけね」

 

 

「どうです?ちょっと恐ろしいでしょう」

「うーん…」

祐巳の脳裏に、高笑いを響かせる三人の瞳子ちゃんが浮かんだ。

顔の両端に、合計6つの縦ロールが、びんよよよ〜ん…よんよんよんと揺れた。

「…!!」

反射的に、口元を押さえる。

 

 

「祐巳さま…いま何か失礼なこと考えましたね?!」

本物の瞳子ちゃんが加わって、縦ロールが8つになる。

それが、どるるるる…と一斉に回り出した。

「…!!…!!」

「何を想像したんですか、何を?!」

 

四人の瞳子ちゃん、恐るべし(笑)。

2004.05.20

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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