雨のにちようび |
気が付くと、見知らぬ町並みが広がっていた。
閑静な住宅街。 サー…、とノイズのような細い雨が降りしきる中、しばらく自分が何をしているのかわからなくなる。
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―――こんなところへ来たって、会えるはずないのに。
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ましてや、自分はその方の家の正確な場所を知っているわけでもないのに…。 ぷるぷると、頭を振る。合わせるように、頭の両脇の縦ロールが揺れた。 自分は散歩をしに来ただけなのだから、だからそう、誰かに会えないのは当たり前のこと。 別に何かを期待していたわけではない。…たとえば古くからの友人の好きな少女マンガのような、偶然バッタリ、などという展開は。
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ただ、急にその顔が見たくなっただけのことだ。 大した意味はない。 気が付いたら、傘を差して家を出ていただけのこと。 サー…。 …このまま傘を放り出して、全身ずぶ濡れになれば、少しはこの胸の痛みは消えるだろうか。 いつの間にか、そんなことを考えている。 ―――雨のにちようび。
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そして彼女は、踵を返す。何事もなかったように。 |
2004.10.05 |