祥子さまは祥子さま |
胸の中で、祐巳が泣いている。 私の腕にすがりついて、子供みたいに…ああ、なんて愛しいのかしら。 でも、だめよ。今日の私は、厳格なお姉さまにならなくてはいけない。紅薔薇として、妹を導いてやらねばならないの。一年前の、お姉さまのように。 決意には並々ならぬ意志の力が必要だったけれど…。これもあなたのためを思えばこそ。ああ、これから難題を突きつける私を許してちょうだい、祐巳…。 さあ、言うのよ、小笠原祥子。
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「祐巳」 温かくて柔らかくて、いつまでもいつまででもその感触に浸っていたい祐巳の身体をそっと離して、真っ直ぐにその顔を見つめる。 「あなた、妹を作りなさい」 「え…っ」
―――言った(ぐっ)。 言ったわ。ええ、よくやったわ私。褒めてあげてよ。 辛いけれど、寂しいけれど、これが姉たるものの務め…。
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「…………お姉さま(うるっ)」
はうっ!
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はうあわわわわわっ… わたわた。 「……な、なーんてね。ちょっと祐巳を驚かせようと思っただけよ。びっくりしたかしら?」 「………本当に?(頭こくん→)」 「もっ、もちろんよ!」 「……お姉さまぁっ」 ひしっ 「祐巳っ…(じーん)」 そして、またしてもうやむやになる祐巳の妹問題であった。
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祥子さま、意志よわっ(^^;。 |
2004.10.07 |