道の先に立つ人

 

  「コツのようなものはあるんですか?」

  言葉は悪いかもしれないが、
  お姉様の記事は最終的には物事の
  真実を暴く事が多い、それは事実だ。

  そこに辿り着ける理由、技術を知りたくて
  今後の為にと尋ねてみたのだ。

  「そんなもの無いわよ」
  「少しくらいは何かあっても……」
  「仮にあったとしてもそれは私の方法であって
   真美の方法ではないわ」

  言っている意味が良くわからなかった。

 

 

  「別に真実に辿り着く道は一つじゃないわ」
  「でも、私はもっと技術を磨きたいんです」

  真剣な眼差しをお姉様へ向ける。

  「……教えたくないのよ」
  「は?」
  「だから、あなたに私の方法……と言っても
   勘とか直感みたいにあやふやなものだけど。
   それを教えたくないの」
  「後輩、いえ妹に追い抜かれるのが
   嫌だから……ですか?」

  お姉様にもプライドはあるのだろう。

 

 

  「私が教える事であなたの可能性を
   潰してしまいそうだから嫌なのよ」
  「でもそれは私がお姉様の方法を
   参考程度に留めれば済む事ですし……」
  「とにかく駄目よ、教えられないわ」

  椅子から立ち上がり、お姉様は
  部室から出て行こうとする。

  「お姉様は私が物事の真実に
   辿り着けなくても構わないんですか?」

  ほんの少しの苛立ちと悲しさ。

 

 

  「何言ってるの?真美なら大丈夫だって
   信じているからこそ教えないのよ」
  「根拠が無いじゃないですか」
  「私はあなたのお姉様なのよ?」
  「それ、便利な言葉ですね……」

  呆れと諦めでため息を漏らした。
  
  「それにね」
  「はい?」
  「真実、という字は『まみ』とも読めるでしょ?」

  そう言って部室から出て行くお姉様。
  数秒の後、私は顔が赤くなるのを自覚し、
  ほんの少し幸せな気持ちになっていた。

 

(みゃあ)新聞部姉妹でラブいの書かせたら右に出る者なし。

2004.12.25

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

お名前  mail

  ご意見・ご感想などありましたらどうぞ。